IUD(リング・子宮内避妊具)

IUD(リング・子宮内避妊具)について

IUD(リング・子宮内避妊具)について

(アメリカ産婦人科学会パンフレットより)

子宮内避妊具(IUD・リング)は避妊法の一つです。
妊娠を予防する為に小さなプラスチックの器具を子宮の中に挿入する方法です。
このパンフレットでは

  • IUDとは何か、どのように使うのか
  • IUDを使う事の有効性と危険性
  • IUDが貴方にとって一番良い方法なのか

などを説明しています。

妊娠について

IUDがどのような働きをするか知る上で、正常な妊娠の仕組みを知らなくてはいけません。女性には、子宮の両側に二つの卵巣があります。毎月、どちらかの卵巣が卵管に向かって卵子を放出します。これを排卵といいます。これは、次の生理が始まる12~14日前に起こります。

排卵の前後に性交渉を持つと女性は妊娠する事ができます。性交渉の時に男性は膣内に精液を放出します。精子は子宮頚部を泳いで上がっていき、卵管に到達します。

卵管の中で精子が卵子と出会う事ができると受精(精子と卵子の結合)します。受精卵は卵管をつたって子宮までたどり着きます。そして、子宮の中にもぐりこみ(着床)胎児へと成長を始めるのです。

 

IUDの働き

IUDは子宮と卵管の両方に作用します。受精や着床に干渉し妊娠を防ぐのです。

IUDには二種類あります。魚の骨のような形をしたプラスチック製の物と、プラスチックに銅線が巻いてあるものです。銅線が巻いてあるものの方は新しく許可されたもので、より、避妊率が高いといわれています。

通常、IUDは数年に一度の交換が必要です。人によっては、生理の量が増えたり、不正出血が起こったり、腹痛が起こったりします。また、定期的に検診をしておかないと、位置がずれる事があり、妊娠してしまう可能性があります。

利点

IUDは、他の避妊法に比べて以下のような利点があります。

  • 扱いが簡単である。―性交の前に準備する必要もないし、ピルを毎日のむ必要もありません。
  • 性交や日々の生活を妨げる事はありません。ジョギングやエアロビなどの激しい運動をしても大丈夫です。
  • 一度挿入すれば、ご自分も相手も違和感はありません。

IUDの効果は?

IUDの効果は?

IUDは効果の高い避妊法です。女性にとってすぐにやめる事のできる避妊法としては、もっとも安全な方法の一つです。もし、妊娠したいと思った時には、はずしてしまう事ができます。 IUDの避妊率は98%でといわれています。きちんとIUDが挿入されていれば一年のうちIUD使用者の100人に1~2人しか妊娠しないという事です。これは、コンドームなどの避妊率に比べれば非常に効果的な避妊法だといえます。実際、ピルより少しだけ効果が低いといった程度です。(銅線付きIUDの場合)

IUDの選択

IUDはお産をした事がある女性に適しています。子供がいる女性なら、挿入も楽ですし、自然に抜けてしまう事もありません。

IUD使用に適さないような場合もあります。以下のような場合は、IUD使用に適しません。

  • 子宮・卵巣に感染症がある。
  • 子宮外妊娠になった事がある。
  • 生理痛がひどい。
  • 不正出血がある。
  • 性交渉の相手が多数いる。もしくは、性感染症(STD)にかかる危険性が高い。

主治医に、過去の病歴や、現在の性生活について、きちんとお話ください。IUDが使用できるかどうかを診断してくれるでしょう。

挿入

挿入の前に、IUDの使用が安全かどうかの診断が必要です。

  • 病歴やその他の問題がないかをお尋ねします。
  • 妊娠の有無を確認します。
  • 感染症を調べる為に、オリモノや血液検査をします。

よく、説明を聞いて、十分に納得されてからIUDを使用してください。もし、分からない事があれば、よく分かるように説明してもらいましょう。IUDは、通常生理後数日以内に挿入します。

IUDは、細いプラスチックの管に入っています。これを子宮の入り口から中へ差し込んで、中へIUDを挿入します。IUDは管から出ると、ばねの働きで羽が開き固定されます。

IUDには、ナイロン製の細い糸がついています。挿入した後、これを2~3センチの長さに切りそろえます。このナイロン糸を確認する事によって、IUDが中に入っている事が分かります。ナイロン糸は、刺激になる事はほとんどありません。

IUDの状態を確認する為に、生理のあとなどに、指で膣内のナイロン糸を確認しましょう。ナイロン糸が長くなっていたり、短くなっていたり、場合によってはまったく触れない場合には、主治医に確認してもらう必要があります。IUDが抜けてしまう事があるからです。IUDが確認できるまでは、他の避妊法を併用してください。

IUDを抜く場合は、主治医に抜いてもらいましょう。糸を引っ張ってご自分で抜かないでください。

危険性

中には、IUDを使用して数週間、不正出血や下腹痛がある方もいらっしゃいます。しかし、普通は、1~2ヶ月で症状は軽くなります。

IUDで重症な合併症が起こる事はまれです。しかし、中には問題が起こる方もいらっしゃいます。このような問題は、挿入している最中もしくは直後に起こるのが普通です。

滑脱 IUDが子宮の中から膣の中へ飛び出してきてしまう状態です。
こうなると、まったく効果はありません。
穿孔 IUDが子宮の壁を突き破ってしまう事です。このような事は非常にまれで(非常に柔らかいプラスチックでできているので)1000回の挿入のうち2回(0.2%)程度の確立といわれています。
妊娠 まれですが、IUDを使っていても妊娠してしまう方がいらっしゃいます。IUDが、まだ、子宮の中にあるようなら、母児ともに危険性があります。流産、感染、子宮外妊娠などが考えられます。
感染 挿入のあと、子宮や卵管に感染がおこることがあります。
感染の後に癒着がのこると、妊娠しにくくなる可能性があります。

IUDに問題が起こった場合に、症状が起こります。この症状に注意して、もし、症状があれば、主治医に連絡してください。

  • ひどい下腹痛
  • 性交時の痛み
  • 不正出血、性交後の出血、一ヶ月以上続く出血
  • 生理が無くなった、もしくは、妊娠の兆候がある
  • いつもと違うおりもの
  • 膣内のナイロン糸の長さや位置の変化

さらに、IUDは妊娠を防ぐ事はできますが、性感染症を予防する事はできません。性感染症の危険がある場合には、コンドームの使用が必要です。

最後に

IUDは多くの女性にとって、安全かつ効果的ですぐにやめる事のできる避妊法です。IUDを使用する利点とリスクを十分に検討し、病歴や性生活をきちんと知る事で、貴女がIUDを使う事がベストなのかどうかを判断する事ができます。

IUDを使う際には、副作用の症状に注意して、異常があればすぐに主治医にご相談ください。早めの処置によって、長期間使用の副作用を防ぐ事ができます。

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